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カナダ人200人を拘束して人質外交 中国が孟晩舟事件に固執する理由

2019-01-01 05:11
中国通信大手、ファーウェイの創始者・任正非氏の長女で最高財務責任者の孟晩舟氏がカナダで逮捕されてから、中国国内でカナダ人が拘束されるケースが相次いでいます。カナダメディアは連邦政府からの情報として、現在約200人のカナダ人がさまざまな理由で中国当局に拘束されていると報じました。中国政府は人質外交によって孟氏の釈放を迫っているとみられています。今回の中国政府の反応は、当局とファーウェイとの間の軍事分野における関連性を際立たせただけでなく、中国共産党の本質も明らかにしました。 カナダのグローバル連携省報道官は12月19日、就労ビザの問題を理由にカナダ人のサラ・マクイバーさんが中国当局に拘束されたと発表しました。 カナダ人を人質にしてカナダへの報復を重ねる中国政府に対し、国際世論から非難の声が上がる中、カナダ日刊紙トロント・スターは20日、約200人のカナダ人が中国当局に拘束されたことを発表しました。 同紙はカナダ政府の消息筋の話として、拘束されたカナダ人のうちごく一部は政治的な理由があったが、他には二重国籍やビザの関連規定への違反、飲酒による酩酊(めいてい)、ドラッグなどの理由で拘束されたと報じています。 カナダ政府は複数回にわたり、これらの逮捕と孟晩舟氏の逮捕には「明確な関連性」はないと発表しており、トルドー首相も慎重な態度を崩していません。 一方、ロイターは西側の駐中国外交官の話として、中国当局の一連の動きは、孟晩舟氏の逮捕事件に対する報復行為だと指摘しています。  カナダ日刊紙のグローブ・アンド・メールは12月14日、「トルドーが中国に抱いていた幻想が終わった」題した社説を発表しました。ここには、孟晩舟事件がトルドー政府の対中政策を叩き潰し、中国の対カナダ政策も葬り去ったと記されています。トルドー政府はしっかりと目を開いて、中国共産党の本質をよく見極める必要に迫られています。 この社説には「北京が正体を現した。彼らはカナダに、米国との身柄引き渡し協定を破棄させ、さらにカナダ政府に司法体系を変えさせようと考えている」、「中国には法律に基づき国を治めるという概念がない。政府が有罪と言えば有罪になる」、「国の統治者が法律の制定者だ」と記されています。 では、中国政府はなぜこれほど孟晩舟事件に固執するのでしょうか。 ファーウェイの創始者・任正非(にん・せいひ)氏の長女でCFOでもある孟晩舟氏は同社の後継者候補とみられていましたが、任氏と中国軍との関わりとファーウェイの発展史から、多くの人々がファーウェイは中国当局からコントロールされているのではと疑っています。 中国在住の中国問題研究家・凌霜(りょう・そう)さんは、孟氏が多数の軍事情報を握っているため、中国当局は米国への引き渡しにより機密情報が漏えいすることを恐れていると指摘しています。 中国問題研究家  凌霜氏 「今回 米国は孟氏を捕まえたことで、中国共産党の弱みを突いた。ファーウェイは普通の企業ではなく、軍需産業企業だ。任氏は非合法と合法の間をつなぐ仲介者に過ぎない」 大紀元英文サイトはこのほど、独占レポート「詳細な分析:諜報・転覆ツールとしてファーウェイはどのように使われているのか」を発表しました。同時にシンポジウムを開催し、ファーウェイと中国当局の緊密な関係をはっきりと指摘しました。 ファーウェイのほとんどの取引先は中国のセキュリティ部門であり、同社は中国のインターネットファイヤーウォール「金盾」プロジェクトの構築に深く関わりました。さらに国民の行動を追跡することにより一人一人にスコアをつける「社会信用システム」は、主に反体制派に使用されるのではないかとも懸念されています。ほかにも、ファーウェイは全国に設置された国民監視システム「天網」にも深く関わっています。 一方で、ファーウェイは世界最大の通信会社として、5Gネットワーク市場への参入を目指して世界の大部分の5G情報交換ネットワークに関わろうとしていましたが、何度も挫折しています。 諜報情報などの相互利用を定めたUKUSA(ウクサ)協定の加盟国、つまりファイブアイズの米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは、ファーウェイを5Gネットワーク設備のサプライヤから外し、日本やフランスもこれに続きました。ドイツもこの流れに合わせるかどうか考慮しています。 2015年以降の中国の5Gネットワーク建設費は米国の240億ドルを上回り、中国は自国の企業を援助して世界の5Gネットワーク設備市場を短期間で押さえました。米国在住の時事評論家、唐靖遠(とう・せいえん)さんは、ファーウェイが真に優(まさ)っているのは技術ではなく、同社のコスト戦略だと指摘します。 米国在住の時事評論家  唐靖遠氏 「西側諸国の企業の場合、一社だけでこれだけ大規模な事業を行うことは難しいが、ファーウェイは別だ。中国当局は国庫金を使ってファーウェイに資金援助ができる。だからファーウェイはコストを顧みずこの分野の市場を席捲できる」 専門家は、ファーウェイとZTE(中興通訊)の開発事業に対し多くの国が警戒心を抱く理由について、中国との競争や中国に追い抜かれることを恐れているのではなく、中国が国内で国民監視体制を敷いているために、中国の通信企業によって自国の情報が筒抜けになる恐れを払しょくできないからだと考えています。